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地域包括支援センターの業務で相談からサービスまでのプロセス

地域包括支援センターというのはどういった仕事をしているかというのは、転職サイトや福祉に関するサイトでもきちんと紹介されていると思います。

そして、個別の地域包括支援センターが活動しているブログを見ればある程度は個別の包括支援センターの業務が見えてくると思います。

だた、実際に業務を受けてからのどういった考えや、方法で相談に乗って話を進めていくのか、なかなかつかめないと思います。

今回、紹介させていただくのは

外国から福祉の勉強をしている人達が来るから、包括支援センターの説明をしてほしいんだけど?

外国の人

in what way?

包括支援センターとはどうやって介護保険に繋げてるのですか?

ということを言われ、右往左往したことを思い出して記事にしました。

その際に使用したものをアレンジして地域包括支援センター業務を『相談を受けてから具体的な介護保険のサービスに繋げるまでのプロセス』という形で紹介したいと思います。

包括支援センターで働きたいと思ってる人、興味がある人がいれば、これを読むと包括支援センターが相談を受けてから具体的な介護保険のサービスに繋げるまでの行程を丁寧に説明していますので、わかりやすいと思います。

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まずはどんな相談も受け付ける

そもそも、地域包括支援センターとは地域に住む高齢者等に関するさまざまな相談に乗る機関となっています。まずはすべてを受け止め、適切な機関、制度・サービスにつなぎ、継続的にフォローをしていくことから始まります。

これは、包括支援センターに相談をすると色んなサービスの調整まで可能になるというワンストップサービスの拠点としての機能を果たす役割があるからです。

時には高齢者以外の相談があるので、違った対象の相談があった場合には適切に違う機関に繋げるようにしておきます。

相談者や相談機関、相談内容、相談状況は多種多様であり、どのような人からの相談であろうとも、どのような内容や状況であろうとも、まずは現状を把握することが不可欠になってくるのです!!

もちろん、相談方法は電話や窓口への来所だけでなく相談者の自宅に訪問して相談を受け付けます。

優先度を確認

相談を受け付けた時に最も優先されるのは生命の危険がないか?ということを確認していきます。

「病気になった」「転んだ」「動けなくて大変」「トイレに行けない」など救急車の要請や、医療機関に相談してもおかしくない内容の電話がかかってくることも時々あります。

高齢者からの電話の場合、声に緊迫感がなくても重大な危険が進行していることもあるので注意をしています。

そこでは現状や主治医について尋ね、主治医へ電話をしてもらったり、ご本人の了解の元、こちらから主治医に連絡することもあります。場合によっては緊急訪問し、その場で救急車を呼ぶこともあります。

緊急性が高い場合。

包括支援センター内で一番に神経を使い、アンテナを高くしてキャッしなければいけないのが緊急性の高い場合の相談です。

もちろん、相談者からの直接の相談で緊急性が高いとわかる場合もありますが、なかなか本当のところが見えない場合が多いです。

ただ、怪しと思った場合は職員同士で話し合います。包括にいるのは社会福祉士、主任介護支援専門員、保健師及び看護師です。

相談内容が緊急的であったり複雑な虐待や難しい事例の相談に対しては、この3職種がそれぞれの専門性をいかしチームとして検討を行っていきます。この3つの専門的視点は、支援や対応の質を高めるうえでとても重要になってきます。

そして、同時に誰が中心に支援や対応を行うのかといった責任を明確にしていきます。主に主担当を決定するのは包括支援センターの管理者になります

主担当を決定する際には、相談内容から把握されたこと、または予測される課題や地域の状況を踏まえ、もっとも効果的に対応ができると考えられる包括支援センター職員をその専門性から判断します。

同時にその時点での担当業務量や業務内容などを考慮し、包括支援センターとしての組織的な体制を作りをしていきます。

地域包括支援センターだけでは対応できない場合

包括支援センターだけでは対応できない場合も多いので、他の機関につなぐことも意識して支援をしていきます。ここでは一例を記載します。

相談内容 引き継ぐ
お金がなくて買い物ができなくなってしまった場合 生活保護課の担当部署に支援をつなぐ
認知症のために金銭管理ができなくなってしまった場合 成年後見制度を利用して金銭管理をしてもらう専門職につなぐ
高齢者の消費者被害を防ぐ場合 消費生活センターと連携

最近は住まいの問題も増えている

高齢者の住まいの問題も増えています。高齢になって貯金がなくなり立ち退きを迫られたり、古いマンションが取り壊されるため立ち退きを迫られたりするケースが増えている包括支援センターも結構あると思います。

地域で次の住処を探すためには不動産屋や弁護士に相談する場合もあり、民間企業や法律の専門家との連携も必要となってきています。

緊急度が低い場合の相談

緊急性の低い相談内容のときは、相談者の内容を傾聴しつつ問題を把握していきます。もちろん、緊急度が低い相談はたくさんありますが、ここでは介護保険につながることについて説明していきます。

買い物ができなくなってしまったのよね

という相談があるとしたら、その相談にはさまざまな要因があるか考えていきます。

  • 歩行能力の低下で買い物に行けなくなってしまったのかな?
  • 近くのスーパーマーケットがつぶれてしまったのかな?
  • お金がなくなってしまったのかな?
  • 認知症でお金の支払いの仕方がわからなくなってしまったのかな?
  • 家族に反対されたのかな?

数え上げればきりがありません!結局、色々と聞き取りをして確認していくことが必要になってくるのです。その人のニーズを見極めるためには質問しながら、その方の生活像を把握していきます。

可能ならば、相談者の生活空間に入り込み、自宅での面接を行うことで生活に関するよりくわしい情報を把握することに努めていくことになります

相談者の家を訪問することで家族間の関係性、地域社会との関係性などさまざまな状況が見えてきます。そして、確認した相談者の状況を整理し、サービスにつなげていくことになります。

そして、「買い物ができなくなってしまった」という相談の理由が、歩行能力の低下があり買い物に行けなくなってしまった場合には

介護保険のサービスでの訪問リハビリテーションや訪問介護での買い物支援のサービス、福祉用具による歩行器のレンタルなどの導入を相談員は考えていくのです。

介護保険の申請から始まってサービス導入まで

介護保険の申請の仕方も初めての人はわかりません。なので、介護保険の説明は申請からサービスにいたるまで、説明することが結構多いです。

介護保険の申請の際には、まずは主治医の意見書が必要です。そのため、病院にかかっていない相談者がいる場合には病院に受診してもらうように支援をしていきます。

一人暮らしで自分で病院にいけない場合には家族に連絡を取って支援をお願いしたり、包括支援センターの職員が相談者に付き添い、受診を行う場合も仕事の一つです。

そして、介護度が比較的低いと包括支援センターの職員が判断した場合、包括支援センターの職員がケアプランを作成し、介護保険のサービスを導入していくことになります。

地域のケアマネに引き継ぐ場合

相談者の状態が介護度が比較的高いと包括の相談員が判断した場合、最初から地域のケアマネジャーにケアプランの作成をお願いすることもあります。介護度が決定していなくてもケアマネジャーに引き継いでしまうのです。

後日ケアマネジャーと一緒にその相談者の自宅に伺いし、引き継ぎをします。ここで包括支援センターの相談員の出番は終了となります。

ここからはケアマネジャーの仕事

その後は、ケアプランを立てるケアマネージャーが実際にサービス事業所との連絡をとり、本人の希望と相談者がどのような介護サービスを受ければ、質の高いその人なりの自立した生活が送れるようになるかを考えていきます。

そして本人が自分らしい生活を地域で継続していけるために、必要となる社会資源の活用を自ら決定していくことができるように、ケアマネジャーは支援することが求められていきます。

ケアマネジャーは本人の状況や課題に応じた適切な情報提供と説明を行っていくことが肝心となります。本人が自分を取り巻く状況を理解し、今後の生活に必要となる選択ができるように本人といっしょにプランを立てていくことになるのです。

終わりに(相談業務を日常的にスムーズにするため)

今回は包括支援センターが相談を受けてから介護保険のサービスに繋ぐまでのプロセスを紹介させていただきました。

他にも地域の運動教室に繋げたり、見守りのサービスだったりと介護保険ではないことの相談だってたくさんあります。もちろんケアマネジャーに引き継いだあとも関わる場合もあります。

事例によっては、いっしょに住んでいる子供が障害をもっていたりする場合もあり、高齢者に対する支援のみならず、そこを入り口として介入した世帯全体を支援していく場合があります。

もちろん、すべてのケースに対して包括支援センターのみで対応することはできません。家族全体の家族支援を実施するため、日常的にネットワークを作り、必要時にスムーズな連携を図ることができるように体制を整えていくことが重要になってきます。

日ごろから積み重ねた関係性、行事や会議などあらゆる日々の業務の中で、時にはお酒を酌み交わしたり、時には地域の祭りに参加したりと、意識して地域の方々と交流するようにしていくのが包括支援センターの土台作りといっても良いと思います。

少なくとも「顔見知り」になり相談しやすい関係性を築いています。地域包括支援センターの職員として、相談者の問題を解決につなげられる機関のネットワークをもっているということは、相談専門職として大切なツールや力量の一つではないかと思います。

以上になります。最後まで読んでいただいてありがとうございました!!

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