現代社会と福祉は10点の項目で比較的難しい項目ですが、一つ一つ丁寧に見ると、昔の福祉のことから、現在社会につながる福祉の勉強なので歴史が好きな人には面白い分野となっています。
海外の福祉に関する研究者たちは名前が英語なので馴染みがなく、とっつきにくいですが、研究自体が分かりやすいので覚えやすいです。
その中でエスピン・アンデルセンは覚えやすい人物の一人です。最初のうちに覚えてしまいましょう。アンデルセン童話ではないのでご注意を(笑)
福祉レジーム(体制)論を提唱
もちろん経済と国家は切ってもきれない関係ですが、国家と福祉も切っても切れない関係なんだと思います。だって経済が発展していくにしたがって福祉も発展していかなければ、国家として成り立っていかないと思いませんか?
という訳でエスピン・アンデルセンは「労働力の脱商品化」と「社会的階層化」の2つの指標によって国家を3分類化しました。
それが福祉レジーム(体制)論です。
労働力の脱商品化
労働力の脱商品化。この言葉は覚えにくいです。脱商品ってどういうこと?ってなります。
労働力が商品から脱け出す!?大体、労働力を商品化って言われても意味が分からないよ!!って思う人が大半です。
これは、仕事を失っても国家の保証等で所得を失わないでいられるかを示す指標となります。
簡単に言うと、仕事を失っても国家が食わせてくれるぜ!!指標ってことです。それが「労働力の脱商品化」と言うことになります。
社会的階層化
社会的階層化は簡単です。国家の政策が社会的な格差を生み出しているかを示す指標になります。貧富の差が激しいのが社会的階層化が高いということ。貧富の差が少ない平等な国家は社会的階層化は低いということになります。
3つの福祉国家の分類
福祉レジーム(体制)論の3つの福祉国家は自由主義、保守主義、社会主義となります。
自由主義(リベラル)レジーム
代表国はアメリカです!!貧富の差が激しいです!!
自由主義は、すごい低所得者に重点的に給付を行います。あんまり貧乏でない人は給付の対象外になります。すごい貧乏の人に対して給付を行うのでスティグマ(差別や偏見感)を伴います。
選別主義をとっているので生活保護を受ける場合もミーンズテスト(資力調査)が行われています。ミーンズテスト(資力調査)されるってやっぱり嫌だと思います。なのでスティグマ(差別や偏見)が生れてしまうのだと思います。
もちろん「労働力の脱商品化」は低いです。つまり。仕事を辞めても国家はあまり食わせてくれません。
そして、もちろん「社会的階層化」は高いです。貧富の差がものすごく高いということになります。ようするに市場(取引が行われている状況・場所)の役割が大きくなる体制ということです。実力社会ってことです。
保守主義(コーポラティズム)レジーム
代表国はドイツとフランスです!!
社会保険制度の被保険者資格が職業グループ別(教師、看護・介護職、芸術家、手工業者、ジャーナリスト等)や地位別(公務員、医師、裁判官等)になっているものが中心であるため、給付の不平等があります。
社会保険は普遍主義(誰でも受けられる的なこと)で、公的扶助等は選別主義になっています。
日本も似ていると思いますが、日本の福祉レジームの分類は、保守主義と自由主義の混合型の福祉国家とされています。まだ年功序列だったり、国家公務員が優遇されていたりするけれど、実力主義も取り入れているところが、保守主義と自由主義の混合って感じがします。
社会民主主義(普遍主義)レジーム
代表国はスウェーデン、デンマークです!!
すべての人を対象として、高い福祉サービスの給付が受けられます。バリバリの普遍主義となります!!
高い福祉サービスをすべての人が受けられるということで税金がものすごく高いです!!スウェーデンなんて消費税が25%です!日本が最近10%になって高いなぁと思っていてもまだまだスウェーデンに比べたら低いです。
また、スウェーデンは小学校から大学まで学費が無料!そして医療も18歳までは無料!!成人でも年間の自己負担額が診察料は約1万3000円。介護費用もほとんど国が負担するようです。
もちろん「労働力の脱商品化」は高いです。仕事を辞めて政府が保証してくれます。
そして、「社会的階層化」は低いです。貧富の差があまりなく、みんな同じような生活ができる体制となっています。
こういったことは政府の役割が大きくなる体制になっています。市場の役割は小さい体制になっています。
エスピン・アンデルセンの福祉レジームのまとめ
福祉レジーム | 代表国 | 備考 |
自由主義レジーム |
アメリカ |
労働力の脱商品化【低】 社会的階層化【高】 |
保守主義レジーム |
ドイツ・フランス |
労働力の脱商品化【中】 社会的階層化【中】 |
社会民主主義レジーム |
スウェーデン・デンマーク |
労働力の脱商品化【高】 社会的階層化【低】 |
※日本は保守主義と自由主義の混合となる。 |
福祉というのは国の政治や経済にも大きく関係している重要な分野の一つとなります。現在の日本は少子高齢化が進んでいる結果
国全体の予算から見ると社会保障給付費の割合は4割を占めています。とても莫大なお金が福祉系に注がれているいます。
そんな現代に生きる私達にとって、福祉業界にいなくても、福祉のことを考えるのは今後はますます重要なとなってきます。そして社会福祉士の勉強は当然、国の福祉に関する予算についても試験範囲に入っています。
こういった社会福祉士の勉強を通じて、日本の政治的なニュースや世界情勢のニュースに関心を持つことは、また一歩自分の中の世界が広がるきっかけになるのではないでしょうか!
以上になります!読んでいただいて、ありがとうございました!!
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