【中年必読】歳をとってもアイデンティティについて考えられる小説

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年齢を重ねていくと過去の過ちや後悔で、罪悪感を抱きながら生きていることってありませんか?

42歳の男性たっつん(@enjoywelfare)です。

西加奈子さん作『i(アイ)』の主人公は幸せな自分に罪悪感を感じながら生きる女の子の物語。

そんな主人公アイがアイデンティティを獲得していく作品ですが、色んな経験をしたおっさんでもアイデンティティについて考えることができる本になっています。

私が西加奈子さんの作品を読んだのは『サラバ!』に続いて2作目。サラバに負けず劣らず面白くて一気読みです!

i(アイ)』も『サラバ!』と作風は似ています。主人公が子供からの大人に成長するまでを描いています。

サラバ!』では主人公の男の子が禿ていくところがとても切なくて笑えるんだけど、この『i(アイ)』では主人公の女の子がだんだんと太ってしまうところも似てます。

男では禿が劣化で女性では太ることが劣化の象徴なのでしょうか・・・。因みに私は痩せているよりふくよかな女性が好きなので、女性が太ることを劣化だと思いません!!程度にもよりますけどね!(^^)!

【中年必読】歳をとってもアイデンティティについて考えられる小説

作者の西加奈子さんは、『i(アイ)』を書いたきっかけは、2015年に3歳のシリア人の男児、アイラン・クルディちゃんがトルコの浜辺で亡くなって打ち上げらた写真を見て一気に書き上げたと言っています。

溺死したシリア難民の男児の写真に世界が衝撃
その子の名前はアイラン。内戦で混乱するシリアから家族と一緒に逃れてきた3歳の男の子だった。

アイランちゃんはシリア人の難民でした。内戦で混乱するシリアから船で逃げたのですが、転覆して帰らぬ人となってしまいました。

この写真はピュリツァー賞を受賞しています。なんとも衝撃的な写真で、この小説を読むまでは恥ずかしながら知りませんでした。

作品の概要

主人公のアイはアメリカ人の父親と日本人の母親の元に養子として家族になるシリア人の女の子。とても裕福な家庭で育てられます。

シリアは相変わらず内戦が続くのに「自分はこんなに幸せでいいのか」と心を痛める主人公のアイ。

死者への祈りを忘れないため、人災や天災でなど亡くなった死者の数をノートに書き込むようになっていきます。

アイはシリア人でありながら、何不自由なく暮らしていくことへの罪悪感を抱いていくのです。そして、親はすごく優しく愛してくれますが血のつながっていないことで、孤独を感じていきます。

アイは親友のミナに言われます。

「私、婿養子をとれって言われてるんだよ、この年で。そんで、子供を産めって。権田の血を絶やさないために。本当、ばかみたい。」

i(アイ)』より引用

アイはバカみたいとは思えません。当たり前に血のつながった家族がいる人は、その重要性に気づかないかもしれないですね。

「この世界にアイは存在しません。」

という言葉にとらわれるアイ。自分の存在が世の中で必要なのか?血の繋がっている家族がいない自分はいなくなっても誰も困らないのでは?

そんなアイは、養父母や親友や恋人との優しい人達との関わりによって、徐々に自分を許せるようになってきます。

アイの成長を見ていると、自分を許すことって大事なんだと気づかされます。自分自身を認めることで自分はこの世に存在して良いんだと思うようになっていきます。

作中を通して主人公のアイはアイデンティティを見つけていきます。

アイデンティティについて

心理学者のエリクソンはアイデンティティ(自我同一性)を青年期に獲得する時期だと発達段階説というもので説明しています。社会福祉士国家試験でも発達段階説は出てきます。

人間の一生を8段階に分けて発達課題が分かれています。課題を達成した状態と失敗した状態で表していることが特徴になっています。

発達段階 年齢 発達課題 課題の達成 VS 失敗
乳児期 0~1歳 信頼 信頼感 VS 不信
幼児期前期 1~3歳 自立性 自立性 VS 恥、疑惑
幼児期後期 3~7歳

自発性

自発性 VS 罪悪感
児童期 7~12歳 勤勉性 勤勉性 VS 劣等感
青年期 12~20歳 同一性 自我同一性(アイデンティティ)VS 同一性拡散
成年期初期 20~30歳 親密性 親密性 VS 孤立
成年期中期 30~65歳 生殖性 生殖性 VS 停滞
成年期後期 65~ 自我の統合感 統合感 VS 絶望

そんなアイの感覚に、自分を被らせて読んでいました。人を傷つけて後悔してしまったり、惨めな思いをして自分が嫌いになり、自分は幸せになるべきではないと思ってしまうこともあります。

42歳の私は成年期中期。課題は生殖性。子供を作って育てる時期です。

でも、アイデンティティって青年期に獲得することも当然ながらあると思いますが、日々の生活で以前獲得したアイデンティティが揺らいでしまうことってあると思います。

過去の後悔だったり、人間関係だったり、環境が変わったり。ましてや病気になったりしたら以前の価値観がガラッと変わり、アイデンティティが崩れてしまうことだってあります。

アイのようにシリア人の養子という特別な状態でなく、日本で生まれて血のつながった両親に日本人として育てられた人だって、その人の置かれた環境での悩みもあるし、孤独を感じることだって当然ある。

だからどんな環境にいても自分自身を認め、周りの人に感謝することができるようなることが、アイデンティティの獲得に大きく関係してくるのではないかと思います。

最後に

最後に過酷な障害を持っていても自分自身を認め、周りの人に感謝して人生を送った人の言葉を紹介します。

とっても元気が出る言葉です!!

ヘレンケラーの言葉

私は、自分の障害を神に感謝しています。私が自分を見出し、生涯の仕事、そして神を見つけることができたのも、この障害を通してだったからです。

両手両足のない中村久子さんの言葉

今思えば、一番の良き師、よき友は両手両足のないこの身体であった。

以上になります!読んでいただいてありがとうございました!!

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エンジョイHukushi
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