最近はフィクションばかり読んでいたので、そろそろノンフィクションが読みたいなぁと思い、店頭に並んでいた『ある奴隷少女に起こった出来事』を手にとりました。
奴隷と聞いてアメリカの奴隷制度が頭に浮かび、最近の黒人デモが連想させられますよね。
そうです!この小説はアメリカの奴隷制度の話です!
書かれてから120年後に再発見されてベストセラーになったとう、なんとも興味深い逸話もあります。
普段だったら書店で調べて、後でアマゾンとかYahooで中古を買うというドケチな買い方をしますが、今回は新品で購入😆
だってソーシャルワーカーとして仕事しているし、奴隷制度ってどういうものか知りたかったんですもん!!😁
【ノンフィクション小説】奴隷制を生き抜いた強く勇敢な女性の物語
『ある奴隷少女に起こった出来事』の内容

この本はハリエット・アン・ジェイコブズ(1813年~1897年)という女性が書いた自伝的ノンフィクションです。
主人公のリンダ(ハリエット・アン・ジェイコブズのこと)の両親は白人と黒人のハーフ。
12歳の時に35歳年上のドクターフリントという医者の家の奴隷になり、そこから苦悩に満ちた人生を歩んでいきます。
本のそでには性的虐待を受けたということが作者名とともに描かれていますが、性的描写は一切でてきません。
ドクターフリントから卑猥なことを言われたり、性的な目で見こられることをものすごく嫌悪する描写が何度も出てくることから、作者は相当なことをされてきたのだと想像させられます。
なんせ、この変態どすけべエロ親父のドクターフリントは、わかっているだけで11人の子供を他の奴隷に産ませています。
しかも、奴隷制度では奴隷が自分の子供の父親の名を明かすことは犯罪になるようで、自分の名前を言った奴隷の夫を鞭打ちした挙句、夫婦2人そろって奴隷商人に売ってしまう血も涙もない男です。
そんな残虐極まりないドクターフリントは、リンダが大のお気に入り。リンダを愛人として迎え入れるように本格的に別宅まで作り始めます。※別邸がないと、奥さんに見つかって怒られるからです😒
リンダとしたら最低最悪・・・ほんと死んだほうがましなぐらい。マジで大っ嫌いなロリコンヤローの愛人になるなんてぜーーったい嫌だ!!!!😱😱😱
そこでリンダはとんでもない方法をとります!なんと違う白人男性サンズ氏の愛人になり2人の子供を作ってしまうのです!!
ここからサンズ氏の庇護を受けて少しずつ事態は好転すると思っていました。
が全く違いました。😥
サンズ氏はのちの国会議員にまでの男ですが、リンダと二人の子供を全然助けてくれません。「リンダを助けたい!」なんてうまいこと言って
結局ポイッ!!ですよ!!子供まで作って!!😡
尚、奴隷制度では生まれた子供は母親の身分を引き継ぐ法律になっているんです。ひどい制度だと思いませんか・・・。女性を性奴隷にするべくして作られたような法律ですよ😖
もうリンダは愛人に頼っていられません!そこからリンダの逃亡生活が始まります。
逃亡生活で特に長くつらい生活を強いられたのが、なんと祖母の屋根裏です。1人隠れて暮らすところは読んでいると苦しくなります。奴隷として使われたほうが良いぐらい。。。
暗く狭い屋根裏部屋に隠れて息をひそめて暮らします。天井まで90㎝ほどしかない部屋ではまともに立つことも出来ず、足腰が弱くなり普通に歩くこともままならない状態になります。
肌を刺し、我慢できないほどひどくただれさせる、針の先ほどの大きさの何百匹という赤い虫には何週間も悩まされた。
ある奴隷少女に起こった出来事より引用
気持ち悪いけど肌を刺したりしないゴキブリが1匹いるだけでも眠れないのに、肌を刺す虫が何百匹もいる部屋で寝るなんて辛すぎる🥶🥶🥶
屋根裏で隠れているときの描写はほんとに息が詰まります。閉所恐怖症の人は読むことが出来ないのではないかと思うほど悲惨な状態でした。
リンダは奴隷として生きるよりも屋根裏部屋での生活を選び、なんと7年間も隠れて生活します。
やがてその屋根裏部屋にいることもドクターフリントにバレてしまいそうになると、奴隷制度のないアメリカ北部に逃亡します。
見事アメリカ北部に逃亡したリンダですが、その後もしつこくドクターフリントは探しに来たり、手紙を寄こしたり。
なぜリンダに対して執着するのかは語られていませんがドクターフリントはストーカーですね😬
自由を求めて多くの奴隷が逃亡生活を余儀なくされた時代。アメリカではリンカーンが1863年に奴隷解放宣言をして、その2年後に奴隷制度が廃止されます。
しかし、その後もアメリカ南部を中心に根強く黒人差別は続いていて、現在の黒人差別デモにつながっているということになります。
『ある奴隷少女に起こった出来事』を読んで感じたこと
もし自分が奴隷制度の中で自分が奴隷として生まれたら。「奴隷として一生を終えるしかない・・・」と思えるほどに奴隷制度は絶望的なもの。
法律で縛られた奴隷制度と差別の前では解決の糸口さえ見えない。まさに八方ふさがり。
自分を捨てて奴隷として生きていくしかない。そのほうが安全で楽なのではないかと感じてしまうような恐怖感が奴隷制度には感じます。
しかし、小説の主人公リンダこと作者のハリエット・アン・ジェイコブズは奴隷制度によりもたらされる死の恐怖や屈辱にも負けない強い行動力と清い精神をもって立ち向かいます。人間ってこんなに強く生きられるんだぁって感心します。
そして、一生懸命に生きている人には必ず味方になってくれる人がいます。リンダには黒人だけでなく白人も味方なってリンダをかくまってくれたり逃亡を助けてくれます。
自由を求めて強くたくましく生きたハリエット・アン・ジェイコブズの自伝『ある奴隷少女に起こった出来事』を是非読んでみてはどうですか!?
奴隷制度は負の遺産。現代の日本では?

日本で暮らしていて、自分自身は差別を受けて暮らしたことはありません。普通の家庭に育った私は、ごくごく平凡な暮らしをしてきました
長年生きていれば多少、虐められたり、逆に自分も虐めに参加してしまったこともあります。だけど「差別をいけない。」となんとなく言われて育てられたように思います。
奴隷制度なんて遠い昔の話で、この話はノンフィクションと言ってもピンとこない部分も正直あります。
200年前は当たり前のようにあった奴隷制。今では負の遺産になっていますが、現代の日本でもきっと間違った価値観や法律があるのではないかと思ってしまいます。
日本ではまだまだ女性蔑視が残っていたり、犯罪を犯した人や不倫をした芸能人なんか容赦なく寄ってたかってSNSで誹謗中傷しますよね!!これも改善されて、時間がたてば負の遺産になっていくのでしょうか?
以上です!読んでいただいてありがとうございました!!
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