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介護殺人の原因は?現役の福祉相談員がノンフィクションを読んで解説

福祉系のブログを書いているたっつんです。

介護殺人という重いテーマの小説を読んでから、なんとなく他に介護関係の記事を書こうとしてもアイデアが浮かばなかったり、ブログを書くテンションにならず更新頻度が減っています。(・・・ただのいいわけ😅 )

なんせ、記事を書くのは大変で150記事近く書いた今でもブログを更新するのは必死です。少しずつではありますがPVが伸びているのが唯一の励みになっていているのですが収益は月に百円程度😞

作業時間を考えると時給数円の単価ですよ😂これが自分の実力なのだからしょうがないっす!!

まぁそんなブログに対する愚痴はこれぐらいにして今回、私が読んだノンフィクション『介護殺人:追いつめられた家族の告白を紹介します。

地域包括支援センターの仕事で様々な虐待事例や困難事例を見てきた筆者が介護殺人という重いテーマを読んで思ったことや感じたことを書いてみました。

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介護殺人の原因は?現役の福祉相談員がノンフィクションを読んで解説

『介護殺人:追いつめられた家族の告白』の内容

この本は色々な理由で介護殺人を犯してしまった当事者にその時の状況や気持ちを取材しています。

正直、読むのは辛いです。介護が楽しいものではなく、辛く過酷な状況が書かてれいます。そして過去の幸せだった時のことも丁寧に書いてあり、介護が必要になった現状が辛すぎて悲しすぎて、しだいに追い詰められていく感じが読んでいて切なくなってしまうのです。

介護殺人を犯してしまった当事者たちは「大切な人だからこそ自分で介護をしたい。」「大切な人だからこそ楽にしてあげたい。」そういった思いを強く抱き不幸な事件を起こしてしまいます。

介護殺人は大切な人を自らの手で殺害してしまうというとても悲しい事件です。優しく愛情深い人が犯す犯罪が介護殺人なのです。

優しすぎるがゆえに辛い思いをしている本人を楽にしてあげたい。愛情深いがゆえに自分を追い詰めてしまう。なんとも切ない描写が、様々な状況に追い込まれた当事者達の言葉で語られていくのです。

介護殺人が起きてしまう理由

介護殺人でもっとも有名な事件が地裁が泣いたと言われる京都伏見介護殺人事件です。

2006年2月1日、京都府京都市伏見区の桂川の河川敷で当時54歳の男Yが認知症患者の86歳の母親を殺害した介護殺人事件。

wikkipediaより引用

母親を殺害してしまった息子の「母の命を奪ったが、もう一度母の子に生まれたい。」はあまりにも有名です。

この事件を起こした息子のその後も、この本では語らています。

京都伏見介護殺人事件では3回も福祉事務所に相談に行きますが生活保護を受けることが出来ず、金銭的に追いつめられ介護殺人を起こしてしまいました。このように金銭的な問題で追い詰められ介護殺人を起こしてしまうケースは後を絶ちません。

しかし、金銭的な問題以外でも介護殺人が起きてしまうケースがあります。それは、本人の介護サービス拒否による介護者の負担が増大することです。本人が他人から介護を受けたくないとなると、家族が介護を行わなくてはならなくなります。そうなるとだんだんと介護者は追い詰められていきます。

そしてもう一つは介護者の介護へのこだわりです。他人が行う介護が雑に見えたり介護を完ぺきにこなそうと神経質になってしまうと結局、介護サービスを使うことなく、自分一人で介護をするようになり、やがては精神的にも肉体的にも限界がきて不幸な事件を起こしてしまうというパターンです。

ケアマネジャーのインタビュー

そして、同業者として驚いたのが介護殺人のケースを担当していたケアマネのインタビューが載っていることです。

ケースを担当していて、のちに振り替えると「あの時の対応が間違っていたのでは?」と思うことは支援者には良くあることです。「あの時こうすればよかった」と悔やむことはたくさんあります。そんな思いを打ち明けるのは支援者としてとても勇気のいることだと思います。

そして、介護殺人を犯してしまった当事者とたまたま道端で出会ったケアマネの描写が語られています。

「あの時は大変お世話になりました」近寄ってきて、申し訳なさそうに深々と頭を下げる茂(当事者)に、白石(ケアマネ)は胸が張り裂けそうになった。私こそ何もしてあげられなっかった。

介護に追い詰められるのは他人ごとではない

高齢者の介護は突然やってきます。親はいつまでも元気なわけではありません。歳をとり私の父親もデイサービスに行くようになりました。

今は母親が父親の面倒を見ていますが、母親が何らかの理由で動けなくなったら自分が介護をすることを考えなくてはいけません。しかし今はなにも対策をとっていません。

自分は母親が元気でいることを願っているだけ。もし対策をとるのであれば、実家の近くに仕事場を移し、介護と仕事を両立できるような生活スタイルにするべきなのかもしれません。

しかし今の職場を辞めて、いつ訪れるかわからない介護のために生活を変えることは出来ません。なぜなら自分が介護をしないで親が突然亡くなってしまうことだってあるし、もしくは介護が1か月も続かないくらい短い期間かもしれません。

つまり、介護に対してあらかじめ完璧な対策をしておくこと自体が難しいということです。

しかし心構えの準備は大切です!!そして介護業界にいる私はこれだけでも伝えたいです!!

介護に完璧は存在しません!!諦めることも必要です!!

介護に対してのこだわりを捨て、諦めて他人の介護の手を借りることです。

もちろん自分が気が済むまで介護をしたら、やり切ったという思いで後悔しないかもしれません。でも考えてみたらそれも自己満足かもしれません。

無理をして介護者が追い詰められないようにすることのほうが大切だと思います。

最後に

地域包括支援センターで働いている私は複雑な事例にたくさん遭遇します。

身体的虐待、精神的虐待、ネグレクトなど辛い状況で生活をしている高齢者をたくさん見ています。

もちろん介護者たちの苦悩もたくさん知っています。

そんな辛い生活と苦悩の先に、介護殺人という不幸な事件が起きないように日々、福祉に携わっていきたいと思いました。

以上になります!読んでくれてありがとう!!!

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