現役の地域包括支援センター9年目のたっつん(.@enjoywelfare)と申します。
約9年間、要支援のケアプランを作っています。
しかし要支援でショートステイを利用することってほとんど無い。1年に1回、ショートステイを使うかどうかぐらいです。
やっぱり要支援の人は自分で出来ることが多いから一人で家にいても問題なく生活出来ちゃう。わざわざショートステイなんて使う必要が無いんですよね。
今日は要支援でショートステイを利用するケアプランを紹介します。
パターンは3つに絞りました。
①家族と別れたくてショートステイを利用する。
②家族が心配でショートステイを利用する。
③家族と一緒にショートステイを利用する。
要支援でショートステイのケアプランを立てるケアマネは参考にしてみてください!!
要支援では珍しいショートステイのケアプラン
妻と距離を置きたくショートステイを使う事例
妻が夫に対して時々、「近所の人と浮気している!」「娘と良い仲だ!」と言った嫉妬妄想が出たり、「夫に毒を入れられる!」と言った被害妄想が出てしまいます。
妻と一緒にいると喧嘩になるので夫はホテルに泊まることもあります。今回、病気も多く持っているのでショートステイを利用することになりました。
介護予防サービス支援計画書(1/3)
目標とする生活 | 1日、1週間、1カ月 | 1か月の間にゆっくりした時間を数日作ることが出来る。 |
1年 |
自分の好きな水彩画の作品を1つ描き終える。 |
|
総合的な方針(生活の不活発化の改善・予防のポイント) | 少しの間でも奥様と距離を取ることで、自分の時間が持て活動的になれるように支援していきます。 |
介護予防サービス支援計画書(2/3)
【健康状態について:主治医意見書、生活機能評価等を踏まえた留意点】 |
20××年に僧帽弁逆流、慢性心房細動を背景とした心不全の診断。現在は安定しており、外来で定期的フォローをしている。下肢に軽度の筋力低下があり、通所リハビリなどのサービスを利用することで生活機能の維持改善が期待できる。 |
現在の状況 | 本人・家族の意欲・意向 | 背景・原因 |
運動・移動について | ご本人様:妻があまり出かけないでほしいと言っているので気を遣う。 | 奥様が離れたくないという傾向が強くなることがあり、安心して外出できない。 |
杖を使い、自分で歩行ができる。あまり外出せず自宅にいることが多い。 | ||
日常生活(家庭生活)について | 奥様:夫の世話をしているが、夫は娘と良い仲になっていて憎らしく思う。 | 奥様が離れたいと思う時と一緒にいたいと思う時の差がある。 |
買い物や洗濯や掃除は妻が行っている。自分自身で買い物をすることはできる。 | ||
社会参加・対人関係・コミュニケーションについて | ご本人様:仕事を辞めてから水彩画を描いているが、最近は妻ともめて描いていない。 | 奥様との関係が良好な時は自宅にいても水彩画を描けた。現在は活動量も減っている。 |
日中はテレビを見て過ごすことが多い。元職人だったため人付き合いはどちらかといういと苦手。 | ||
健康管理について | 奥様:食事を作るのは大変なので配食サービスを使っている。 | 腎臓病の既往があり食事制限が大変。奥様と二人暮らしだが別々に食事をすることが多い。 |
既往は心房細動、高血圧、高脂血症、坐骨神経痛ある。片方の腎臓は摘出している。食事制限1600kcal。タンパク質40g、塩分6g | ||
その他の事項について | ご本人様:自宅にいると妻と言い争ってしまうため、一人になる時間が欲しい。 | 奥様と一緒にいることが多いと、喧嘩をしてしまう。奥様からの不満あり。 |
奥様との距離を置くために自分でホテルに泊まることもあったが高くて最近はホテルに泊まってない。 |
総合的課題 | 課題に対する目標と具体策の提案 | 具体策についての本人・家族の意向 |
奥様と一緒になる時間が多くなるとお互いにストレスが溜まってしまって言い争いになり喧嘩になってしまう。 |
【目標】 【具体策】 |
【ご本人様】妻と離れる時間を作ることで少しは落ち着けると思う。 【奥様】1日部屋に籠っているのでお泊りでもどこでも行ってほしい。 |
介護予防サービス支援計画書(3/3)
目標 | 支援計画 | |||
目標についての支援のポイント | 具体的な支援の内容 | サービス提供者 | ||
別々の時間を作ってご本人様は水彩画、奥様は編み物を再開する。 | 奥様との距離を取りたいときはショートステイを利用を緊急的でも取れるようにしておく。 | 本人の取組 | 自宅にいる際は散歩や介護教室へ通って、外に出かける。 | ご本人様 |
家族・地域の支援、民間サービス等 | 自宅の掃除、洗濯、買い物 | 奥様、娘様 | ||
介護保険サービス地域支援事業・区市町村サービス | ショートステイでの施設内のアクティビティへの参加。水彩画の道具を持参し描く。 | ○○ショートステイ |
家族が入院するためショートステイを使う事例
息子と二人暮らしの要支援2の女性。デイサービスを利用しながら生活していました。息子が1週間ぐらい入院することになり「自宅に一人にしておくのは心配だから」ということでショートステイを使います。
介護予防サービス支援計画書(1/3)
目標とする生活 | 1日、1週間、1カ月 | ベッドから起きかがる時間を長くして活動的な時間を持つ。 |
1年 | 楽しみをつくり、友達と一緒に地域の活動に参加できるようになる。 | |
総合的な方針(生活の不活発化の改善・予防のポイント) | 息子様が入院される間はショート指定を利用をして健康的に過ごしていただきます。デイサービスの利用によって運動する習慣が出来ましたのでショートステイの利用中でも運動をして身体能力の低下がないようにする。 |
介護予防サービス支援計画書(2/3)
【健康状態について:主治医意見書、生活機能評価等を踏まえた留意点】 |
血圧、血糖コントロールは良好。認知機能も保たれている。軽度の左麻痺があり介護保険サービス利用中も転倒に注意が必要である。 |
現在の状況 | 本人・家族の意欲・意向 | 背景・原因 |
運動・移動について | 左手の力がなく感覚がない。左足も麻痺があり室内は伝い歩きで、屋外はシルバーカーを使用している。 | ご本人様:シルバーカーを使っても長い距離を歩くことが出来ない。 |
腰痛及び左下肢のしびれ疼痛、筋力低下があり歩行が困難になってきた。 | ||
日常生活(家庭生活)について | ご本人様:左手が動くけど感覚がない。 息子様:部屋にいることが多いので心配。 |
本人の出来ないことがあるが同居の息子様が援助をしてくれている。 |
息子様のと同居。掃除、洗濯、買い物等の火事はもっぱら息子様が行っている。トイレやお風呂は自分一人で行っている。 | ||
社会参加・対人関係・コミュニケーションについて | ご本人様:近所に友達がいたがいなくなってしまった。自宅にいるより色々な人と話したい。 | 友人が少なくなり、しゃべる人がいないので楽しみがなくなってきている。 |
近所に知り合いがいなくなってからは、特に友達の家に行くことが無くなってしまった。 | ||
健康管理について | 息子様:昨年に家の中で転んで背骨の圧迫骨折をした。〇〇病院に入院してました。 | 圧迫骨折後の痛みと右脳梗塞後遺症の左麻痺により室内もつかまり歩行だが転倒の危険性がある。 |
通院は息子様が付き添っている。〇〇診療所には3週間に1回程度通院している。 | ||
その他の事項について | 息子様:入院中に母親を家に一人にしておくのが心配 ご本人様:少しの間なら他で泊まっても大丈夫。 |
家事全般は息子様が行っている。7日間自宅で一人で過ごすのは難しい。 |
息子様が尿路結石の為、〇〇病院に1週間入院する。その間、自宅でご本人様が一人になってしまう。 |
総合的課題 | 課題に対する目標と具体策の提案 | 具体策についての本人・家族の意向 |
1.他の人との会話を希望しているが近所に友人がいなくなってしまった。 |
【目標】 【具体策】 |
ご本人様:人と話さないと頭にも良くないと思っている。他の人と話したい 息子様:本人がデイサービスを希望しているので、楽しみになってくれるといいなと思っている。 |
2.介護者である息子様が入院してしまい、1人で自宅で過ごすのが難しい。 |
【目標】 【具体策】 |
ご本人様:初めてショートステイを使うけど、心配はしていません。 息子様:本人はデイサービスで運動すことが気にっているのでショートステイでもしてほしい。 |
介護予防サービス支援計画書(3/3)
目標 | 支援計画 | |||
目標についての支援のポイント | 具体的な支援の内容 | サービス提供者 | ||
1.人との交流が楽しみになり、生き生きとした生活ができる。 | 1.本人合った年齢や地域層で交流がしやすい場所を提供するようにしていく。 | 本人の取組 | なるべく自分から他の人に声をかけてるようにしていく。 | ご本人様 |
家族・地域の支援、民間サービス等 | 本人の話を聞き、家族内での不安な不都合がないようにしていく。 | 息子様 | ||
介護保険サービス地域支援事業区・市町村サービス | ・楽しく他の人と話ができるように利用者同士の橋渡しをする。 ・運動を提供し身体能力の低下を予防する。 |
〇〇デイサービス | ||
2.ショートステイを使っても身体能力を低下させない。 | ご本人はショートステイを初めて利用することに対して、不安はないと言っているが利用中も意向を確認していく。 | 本人の取組 | 従業員の付き添いで館内を歩く 集団体操に参加する。 |
ご本人様 |
家族・地域の支援、民間サービス等 | 1週間入院。 | 息子様 | ||
介護保険サービス地域支援事業区市町村サービス | 入浴や食事等の日常生活の援助を提供 機能訓練での体操を提供して本人の身体能力の低下を防ぐ。 |
ショートステイ〇〇苑 |
夫と一緒にショートステイを使う事例
レビー小体型認知症で要介護2の夫と二人暮らし。要支援2の女性。リハビリとヘルパーを利用しながら暮らしていました。だんだんと夫の介護負担が増大。
夫だけショートステイを利用するようにすすめますが「一人では行きたくない!!」と断固として夫が拒否します。結局、二人で同じショートステイを利用するようになります。
介護予防サービス支援計画(1/3)
目標とする生活 | 1日、1週間、1カ月 | 自分で腿上げの運動と腰回りのストレッチをする。 |
1年 | 何も使わないで歩けるようになりたい。 | |
総合的な方針(生活の不活発化の改善・予防のポイント | ご本人の身体能力の維持とご主人に対する介護負担を軽減できるように、ご主人のケアマネや介護事業所とも連携して支援していきます。 |
介護予防サービス支援計画書(2/3)
【健康状態について:主治医意見書、生活機能評価等を踏まえた留意点】 |
右ひざ関節については人工関節置換手術をしているが疼痛がある。左ひざについては疼痛増悪しているが糖尿病と高齢のため手術が出来ない。身体能力維持のために適度な運動は必要。 |
現在の状況 | 本人・家族の意欲・意向 | 背景・原因 |
運動・移動について | ご本人様:膝の痛みが強くなると注射を打ってもらっている。 | 膝と腰の痛みが続いている。日によって痛みが強くなることがある。 |
家の中は周りの物や手すりを使って歩いている。外出時は杖を使う。ほとんどタクシーで移動している。 | ||
日常生活(家庭生活)について | ご本人様:夫が何も出来なくなってきたのでやることが増えてきて大変。 | 夫がレビー小体型認知症の進行で身体の動きも悪くなり、家のことが手伝えなくなった。 |
掃除や買い物はヘルパーを利用している。買い物は生協で頼む場合もある。 | ||
社会参加・対人関係・コミュニケーションについて | ご本人様:主人と一緒に出掛けるのは歩けないので大変 ご主人:まぁ前よりは歩けなくなってきたと思うよ |
ご主人の歩行能力の低下により、二人での外出が出来なくなった。 |
以前より外出する頻度が減った。友達との集まりにも参加できなくなった。 | ||
健康管理について | ご本人様:糖尿病の数値は良くなっているけど、膝や腰は良くならない | 糖尿病、右膝人工関節、脊柱管狭窄症がある。右膝を庇うことで左ひざの痛みも出てきている。 |
膝や腰の痛みが強い時はブロック注射を打つ。 | ||
その他の事項について | ご本人様:夫が転んだり便の失敗をするとイライラするし疲れる。老人ホームも考える ご主人:一人で施設に行くのは嫌だ。妻には迷惑をかけてると思っている。 |
ご主人に対しての身体的介護が増えてきている。 |
ご主人の病気が進行して排泄の失敗や家の中での転倒が増えている。 |
総合的課題 | 課題に対する目標と具体策の提案 | 具体策についての本人・家族の意向 |
1.膝と腰に痛みがあり、かつ度量が低下していて、今後さらに歩行能力が低下する恐れがある。 | 【目標】 リハビリや身体を動かすことを続けていく。 【具体策】 今後も運動する機会を継続し、歩行能力の低下を防いでいく。 |
ご本人様:歩けなくならないように運動は続けていきたいけど、痛い時はどうしようもない。 |
2.ご主人の身体能力の低下でご本人様の介護負担が増えている。 | 【目標】 ご本人様の疲れを軽減する。 【具体策】 ・家事支援することで負担を軽くする ・ご主人といっしょにショートステイを利用して休息をとる。 |
ご本人:主人の介護で疲れ果ててきた。トイレの失敗は本当に大変。 ご主人:家が良いけど妻となら一緒に泊まってみてもいいよ |
介護予防サービス支援計画書(3/3)
目標 | 支援計画 | |||
目標についての支援のポイント | 具体的な支援の内容 | サービス提供者 | ||
1.リハビリや身体を動かすことを続けていく。 | ご本人様のやる気を尊重しつつ、痛みがひどい時は無理をしないように促す。 | 本人の取組 | 痛みと相談しながら自分ながらの運動を続けていく。 | ご本人様 |
家族・地域の支援、民間サービス等 | 外出に一緒に付き添う | 次男の嫁 | ||
介護保険サービス地域支援事業区市町村サービス | 関節可動域訓練、筋力低下米納訓練、爪切り、ご本人の状態確認、相談 | 〇〇訪問看護 | ||
2.ご主人の身体能力の低下でご本人様の介護負担が増えている。 | ご主人のケアマネと連携を密にとり、ご本人様の介護負担が軽減できるように相談していく。 | 本人の取組 | 立つ時間を短くした調理や洗濯 | ご本人様 |
家族・地域の支援、民間サービス等 | 特別料理、郵便物の確認、掃除洗濯などの家事 | 次男の嫁 | ||
介護保険サービス地域支援事業・区市町村サービス |
お風呂、トイレ、居間など共有部分の掃除、買い物代行、洗濯 | 〇〇ヘルプステーション | ||
ショートステイをご主人といっしょに利用し、休む時間を作る | ショートステイ〇〇の里 |
要支援の人がショートステイ使った感想
妻と距離を置きたくショートステイを使った事例の感想➡「ゆっくり出来て良かったよ。もっと泊まりたいよ」
家族が入院するためショートステイを使った事例の感想➡「みんなに良くしてもらって助かっちゃった。でもやっぱり家が良いわね。息子には元気でいて欲しいわ」
夫と一緒にショートステイを使った事例の感想➡「何にもやることがなくて暇でつまらなかったわよ。もう使わないと思う」
要支援の人は頭がしっかりしているので、貴重な意見をはっきりと言ってくれるのでした。
今回は以上になります!ありがとうございました!!