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地域包括支援センターの社会福祉士は忙しい!?成年後見制度の申立支援の仕事

風邪をこじらして久々のブログ更新。たっつんと申します。

まだ咳が出るので電車に乗ると白い目で見られて辛いです。

今日は成年後見制度についての記事です。

地域包括支援センターで社会福祉士として働く場合に理解を深めておいたほうが良いのが成年後見制度です。

地域包括支援センターの業務では成年後見制度(法定後見制度)を良く使います。そして社会福祉士の資格を持っている職員が利用者を成年後見制度につなげる仕事を任される場合が非常に多いです。

社会福祉士の勉強では「権利擁護と成年後見制度」という科目で勉強します。当然のことながら国家試験の勉強だけでは実務は不十分です。

そこで今日は地域包括支援センター実際の業務に役に立つ様に、相談から後見制度を申立てするまでの流れを紹介していきます。

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地域包括支援センターの社会福祉士が成年後見制度を申し立てるまでの流れ

総合相談を受付ける

「成年後見制度を利用したいです。」と相談に来る人はほとんどいません。

成年後見制度を利用するまでの相談内容はさまざまなのです。

相談内容の例
・銀行から通帳を何度も再発行する高齢者がいる。話を聞いても忘れていることが多いし、身なりもとても不衛生。
・民生委員から心配な一人暮らしの高齢者がいる。行ってみるとゴミ屋敷で不衛生。
・不動産屋から数カ月間、家賃を滞納している高齢者がいる。もしかしたら認知症なのではないか?
・ケアマネから利用者の息子がデイサービスのお金を払ってくれない。
・病院から入院している患者が認知症で親族がいない。治療費の支払いが出来ない。

最初の段階では成年後見制度を利用するかどうかはわかりません。相談を受け付け、アセスメントをして生活上の課題整理や包括支援センター内での情報共有が必要になってきます。

成年後見制度を検討する着眼点

支援の検討をす進める際には、認知症・高齢者虐待・消費者被害等を幅広く関連付けて相談対応していくことが大切です。

着眼点の例
・自宅の状況や日常生活は問題ないか?
・同居人や支援してくれる親族はいるか?
・日常的な金銭管理は出来ているか?
・介護認定・介護サービスは必要か?
・医療、介護保険料などの滞納していないか?
・家賃やマンションの管理費などは滞納していないか?
・公共料金等の支払いは出来ているか?
・電気やガス、水道は止めれれていないか?
・通帳や印鑑の紛失、再発行は繰り返しているか?
・年金、手当などの受け取り鉄d期は出来ているか?
・税金の申告手続きは必要ないか?
・生命保険などの手続きは必要か?
・賃貸借契約の手続きは必要か?
・立ち退きを迫られていないか?
・不動産処分や定期預金の解約手続きは出来ているか?
・高額な買い物をしたりして、消費者被害に遭っていないか?
・借金をしたり、他人の保証人になっていないか?
・借金の整理、ローンの返済は必要ないか?
・遺産相続の手続きは必要ないか?

成年後見制度は判断能力の低下した人の金銭管理や生活や医療や介護などに関する法律行為を支援する制度です。お金のことや生活のことを中心を着目して支援をしていきます。

成年後見制度に繋げるための情報収集

相談者からの情報収集だけでなく本人や関係者からの情報、自宅に訪問しての情報収集等、多角的に情報集めて成年後見制度が必要か検討していくことになります。

情報収集の例
・家族状況を確認していきます。本人に緊急連絡先や電話帳、携帯電話の登録状況の確認して、連絡先を確認していきます。
・資産状況を確認していきます。通帳があれば、一緒に銀行に言って最新の残高を確認するとともに、収支状況を把握していきます。ここで一度に多額のお金が引き出されていた場合は経済的な虐待や消費者被害がある可能性があります。
・家屋状況を本人や家族から確認していきます。持ち家?賃貸?借地?名義は?大家は?などなど
・その他の資産も確認してきます。不動産は?株は?生命保険は?などを本人や家族に確認します。
・現座の自宅の状況、身体状況、本人の認知力、病状等の確認。介護や医療が必要かどうかを確認していきます。

地域包括支援センターは探偵みたいに情報収集していきます。

成年後見制度以外が必要な場合

実際に情報収集をしてみると、成年後見制度以外の方法での支援が必要な場合もたくさんあります。

①緊急保護の必要性


全くお金がなく、親族支援がない場合などは生活保護の受給や緊急一時保護施設、養護老人ホームなどの施設入所について市区町村に相談する場合があります。

生活保護が受給できればケースワーカーが施設の契約者となるので施設に入所が可能になります。まずは命を守ることを最優先にします。

②地域福祉権利擁護事業(福祉サービス利用援助事業)の活用

本人の判断能力、契約能力がある場合は成年後見制度の利用する前に地域福祉権利擁護事業を活用する場合があります。地域福祉権利擁護事業は社会福祉協議会に相談します。

本人や家族に成年後見制度の説明をする

成年後見制度の利用が必要だと判断した場合は、地域包括支援センターの職員が本人や家族に成年後見制度の説明や制度を利用する了解をとる場合が多いです。

成年後見制度を利用した場合は後見人等に月2万円程度の報酬を支払う必要があります

財産が絡んでくる場合などは家族に了解を取らずに制度を進めてしまうと遺産をめぐってのトラブルに巻き込まれる可能性があるので利用促進は注意が必要です。

成年後見制度は本人の大切な財産を他人が管理するという制度です。出来る限り本人や家族の理解を得たうえで成年後見制度の利用を進めていくことを基本とします。

もちろん虐待や本人の判断能力が全くなく日常生活が成り立っていないのであれば説明や了解を取っている暇ないので、その辺が支援の難しい所だと思います。

成年後見制度申立用診断書の作成(医療機関へ受診)

地域包括支援センターが成年後見制度が必要だと判断すると、まずは成年後見制度の申し立て(申し込みのこと)に必要な成年後見制度申立用診断書の作成から取りかかります。

診断書の書式は裁判所のホームページからダウンロードできます。

裁判所の成年後見制度のホームページはこちら

医療機関に受診して後見・保佐・補助人という本人の判断能力のレベルを3段階で医師に診断してもらいます。

まずは主治医に相談する

主治医がいる場合はまずは主治医に成年後見制度申立用診断書に依頼します。

より的確に医師に成年後見制度の類型を判断してもらうために、本人の生活状況等の情報をまとめた「本人情報シート」というものを福祉関係者が作成して提出しておくことを裁判所は推奨しています。

本人情報シートの書式は裁判所のホームページからダウンロード可能

主治医に断られたり受診歴がない場合

主治医が「認知症の専門医ではないので診断書が書けない」と断ってくる場合があります。ほかにも成年後見制度の診断書を書いたことがない、知らない医師もいて断られる場合があります。

主治医に断られたり、病院に受診歴がない利用者の場合は地域包括支援センターの職員が一緒に病院に受診します。受診付き添いの際に診断書の書式を病院に持参するか封書で送ると医師が作成してくれます。

病院によっては多少違いますが、成年後見制度申立用診断書はの作成費用は約5,000円程度の費用が掛かります。

あまり信憑性のない診断書だと裁判所から再鑑定の依頼があります。再鑑定とは類型が正しいかどうかもう一度、医師に診断してもらうことです。再鑑定になってしまうと別途5万~10万円ぐらいかかってしまう場合があります。

再鑑定にならないためには長谷川式スケールかMMSEを実施していること短期間内に回復する可能性の項目に「回復する可能性が低い」にチェックが入っていることが望ましいです。脳の画像診断をしていたら完璧です!!

成年後見制度の申立て支援をする

成年後見制度の申し立てとは要するに成年後見制度を申し込むということです。裁判所に成年後見制度を使うことを申込します。

本人や親族が成年後見制度の申し立てをする場合は「裁判所の成年後見等の申立てに必要な書類等について」のホームページから書類をダウンロードして作成してもらいます。

でもはっきり言って手間もかかるし難しいので申立て自体を司法書士に依頼する場合が多いです。

地域包括支援センターで多いケースは成年後見人候補者として司法書士等の専門家を紹介し、専門家に成年後見制度申立の手続き自体も任せてしまう方法をとります。

司法書士等の専門家が成年後見制度の申立手続きを代行する場合は約10万円となります。

10万円も払いたくないといった場合には、ごく稀に地域包括支援センターが申立て支援をする場合があります。書類の作成は戸籍や、登記簿謄本等の取り寄せを行うので時間がかかります。正直あまりやりたくありません😅

成年後見制度の申立てが出来てしまえば、2カ月月程度で後見人等が正式に裁判所から任命されるという流れになります。

本人や親族が申立てが出来ない場合は行政に任せる

本人や4親等以内の親族が申立て出来ないと思われる場合は市町村長(区長)申立になります。市町村長(区長)申立は行政機関がやってくれるので包括支援センター職員は楽です。

しかし市町村長(区長)申立は最後の手段なので使用頻度は少ないです。っていうか行政機関はあまりすすんで動いてくれないです。行政の職員は断るのうまいので説得するのが大変です😔

まとめと注意点

成年後見制度は複雑で難しいイメージがありまが、相談から成年後見制度の申し立てるまでの流れを理解すれば、地域包括支援センターの仕事では十分なレベルです。

地域包括支援センターでの成年後見制度の申立までの流れ
  • 相談受付
  • センター内での検討
  • 情報収集
  • 成年後見制度申立用診断書
  • 成年後見制度の申立て支援

実際の業務で1度でも申立て支援をすると「成年後見制度が理解できた!」と自信につながると思います。

怖がらずに今回の記事を参考にしながら業務に取り組んでくれたら幸いです!

注意点

・成年後見制度にはお金が掛かる。(診断書料約5千円、申立代行約10万円、後見人等の報酬約2万円)
・申立添付書類の有効期限は3カ月。診断書、戸籍謄本などの期限が切れないように注意する
・手続きに時間がかかるが、経済搾取や消費者被害にこれ以上遭わないようにするためにもスピーディに手続きを行っていくことが大切
・後見人等が仕事が出来るようになるまでは2カ月ぐらいかかる。

以上になります。読んでくれてありがとう!!

【管理者が解説】地域包括支援センターの収入ってどれぐらい?

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