限界集落で起きた凄惨な事件の真相がわかる『つけびの村』を読んで

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社会福祉士の勉強をした人は「限界集落」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか

限界集落とは

社会学者の大野晃氏により提唱された概念で人口の50%以上が65歳以上の高齢者となり、冠婚葬祭や集落での役回りなどの社会的共同生活が困難な状態になってしまった集落のこと

この限界集落で実際に起こった凄惨な事件があります。2013年7月に起きた山口連続殺人放火事件です。

事件当時は山口県周南市は8世帯12人しか住んでなく、うち65歳未満は2人だけ。まさに限界集落になっていました。

この小さな集落で1夜のうちに5人が殺害され、2軒の家が放火された。犯人は同じ集落に住んでいた当時63歳の保見光成『つけびの村』はこの事件を取材したノンフィクションです。

少子高齢化社会の問題、限界集落。高齢者の相談業務をしている地域包括支援センターの職員として高齢者社会の闇を知りたくてこの本を手に取ったのであります。

※ネタバレ注意です!!

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限界集落で起きた凄惨な事件の真相がわかる『つけびの村』を読んで

この本を読んでいたら、私の関わっている利用者の家族に殺される夢や、父親に勘当される夢を見ました。よほど怖かったのだと思います。。。

オーディオムービーのつけびの村も怖いです。本と違います。フィクションになってます。

現場に行くまでの描写

著者の高橋ユキさんが現場に行くまでの描写が書いてあるのですがyoutubeに映像がありました。

B級アミューズメント施設「宇宙ステーション」

ぽつんと一軒家に出たらきっと楽しそうな雰囲気で紹介されると思うのですが、5人も殺害されている現場に行く途中にあるってマジで怖いいいい!!

凄惨な事件があった村に行く途中にあるのが本当に不気味です。

事件があった現場の3年後の映像もyoutubeでありました。

村の雰囲気がわかったところで『つけびの村』を読んでいただければ、私のように怖い夢を見るぐらい本に入り込めるのではないでしょうか・・・

何故、事件は起きたか

犯人の保見光成は地裁から死刑を言い渡されて2019年に死刑が確定されています。「妄想性障害」は認められたが、完全に責任能力があったという判決でした。

妄想性障害とはDMS-5という米国の診断基準に定めらた診断名で、女性に比較的に多く、一般的には中高年で発症する。

DMS-5のことが出てくる記事はこちらをクリック!!

山口連続殺人放火事件妄想性障害により実際には何もされてなくても、何かされたと思い込み被害妄想を膨らませてしまったことが原因でおこった事件なのです。

妄想性障害が進んでしまった理由その1.孤立

事件があった2013年の当初は村八分で虐められていたとの報道があり世間を騒がしていましたが

実際には村八分はなかったのではないかと、『つけびの村』の作者、高橋ユキさんは言っています。

妄想性障害によって事件を起こしてしまった保見光成はもともとこの村の住民でした。1949年12月に生まれ、15歳で村を離れて東京で長く暮らしていました。

「身体の調子が悪いから、戻ってきてほしい」と父親から連絡を受け、1996年5月に村に完全に戻ることになります。

43歳にして村に戻ってきた保見は最初は自治会の旅行に参加したりと進んで村人達との交流を図ろうとしていました。

東京から戻ってきた自分が村おこしをしようと自宅の家を「シルバーハウスHOMI」というものを作って、村に人に集まれるコミュニティースペースを作りました。

でもみんな集まってくれなかったんです。いきなり、そんなものを作られても古残の村人たちにとっては、「なんか都会から戻ってきて一人ではしゃいでる」としか映らなかったのかもしれません。

村に戻ってきたら最初は自治会に参加して、草むしりなどのもやい仕事をやったりしてじっくりと関係性を築いていかないで、村人達からは浮いた存在になり孤立を深めてしまったのです。

12人しかいない奥深い村の中で孤立するって考えただけでも恐ろしい。。。どこにも逃げ場がない感じがする。考えただけでも頭がおかしくなりそう。孤独って辛いね。

妄想性障害が進んでしまった理由その2.倫理観のない村

村人達の倫理観が普通の地域で暮らしている私たちとは違いすぎてビックリします。この本を読んだ私の一番のビックリポイントでした。

この村の中では泥棒に家に入られることや放火によるボヤが以前からあったようです。

そして、驚くべきことは殺された森定誠さんは酔って保見を刃物で胸を刺したことがあったようです。

事件当時の村人のインタビューがyoutubeに乗ってたけど、村では酔った勢いで刃物沙汰になることは日常茶飯事みたいなっこと言っているんです。

超異常!!!おそロシアだよ!!

youtubeで山口連続殺人放火事件で検索すると出てきます。

妄想性障害には「鍵体験」というものがあるようで、もともと持っていた妄想に新しい情報が結びついて妄想が限りなく広がっていく。

日常的に村人たちの嫌がらせや暴力を見ていた鍵体験が進行してしまって可能性があるというこです。

妄想性障害が進んでしまった理由その3.噂が妄想を加速

この本を読むと噂が孤立した人間を思った以上に追い詰めていくということがわかります。

保見の隣の家は生協の共同購入の場になっていました。だから隣の家は、みんなが集まってお茶を飲んで話をしていたようです。

保見がやりたかったコミュニティーの場が自分の隣の家でやっている。そこで村人が集まり話をしている「羨ましいし妬ましい」そんな思いを募らせたのではないかと思います。

そして、村で浮いている存在の保見は噂話を「自分の悪口を言われている」「虐められている」と妄想を募らせていきます。

コミュニティーに入りたいが上手く入れない人は、自分に負い目やストレスがかかると「自分は嫌われている」や「悪口を言っている」との妄想性障害になりやすいようです。

妄想性障害が進んでしまった理由その4.経済的困窮

お金がないとはやり人は追い詰められていきます。「自分も死ぬなら、今までの恨みを晴らして死んでやる!」という思いにおちいってしまうのです。

事件当日、保見の貯金は1,627円。所持金は4,246円だったということでした。

追い詰められるって怖いね。

社会福祉士が『つけびの村』を読んだ感想

後期高齢者が急速に増える2025年問題を解決する策として、地域包括ケアシステムと言うものを国はかがげています。

その中には地域連携や住民相互の助け合いを進めていく方針が盛り込まれている。つまり現代の希薄な人間関係ではなく、田舎のように人と人との深いつながりを取り戻していくようなことを政策の中で推し進めているのです。

山口連続殺人放火事件は地域のつながりが強い田舎の限界集落で起きた凄惨な事件

高齢化社会となっていく日本は果たして地域包括ケアシステムを進めていくことで上手く社会が機能していくのでしょうか?

そんなことを思ってしまいました。

それにしても孤独って怖いなぁ。独身の自分は、いつ保見光成になってもおかしくないかも・・・

【おすすめノンフィクション本】読み終わって深く考えてしまうこと必至!

他にも村を題材にした怖い作品を紹介

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