高齢になると子育ても終わり、養育費や住宅ローンなどの出費が減り、物欲もなくなってきますのでお金をあまり使わなくなります。
しかし、老後は通常の生活費の出費が減る代わりに
確実に増えていくものが医療費と介護費です。
老後の生活が安泰だとタカをくくっていると思わぬところで出費が重なり、あれよあれよという間に貯金を切り崩すこととなります。気が付けばギリギリの生活を送る羽目になることだってあります。
現役の時よりも収入が確実に減る老後は、医療費や介護費は出来るだけ抑えることに越したことはありません。
そこで、今回は老後の出費(介護費や医療費)を抑えられる制度や方法を紹介したいと思います。
介護業界では当たり前!知って得する老後の医療費と介護費の節約方法
老後の出費の節約方法:入院費用
老後の出費の中で、医療費は莫大なお金がかかってくる項目の一つです。しかも、75歳以上が使う後期高齢者医療受給者証は現役世代並みの収入がある人は病院での窓口負担が3割負担になりました。
現役世代の人は病院に行かないので、月の医療費なんて微々たるものです。しかし、高齢者は病院に行かない人なんてほぼいません。
医療費は高齢者にとって欠かせない出費の一つになっているのです。
医療費の中でも長期の入院費はとても高額になります。救急車で知らない病院に運ばれて入院が必要になった場合、たいてい安い4人部屋などの大部屋は空きがなく、病院側から「個室なら空いてます。」と言われることが多いです。(部屋代のことを差額ベッド代と言います。)
個室しか空いていないなら仕方ないか・・・
と言ってサインをすると入院はできます。
実は病院側はお金がありそうな患者には、基本的に差額ベッド代がかかる個室を勧めてくることが非常に多いのです。
すごくリッチで高級な病院だと1日4万円もする個室に入れられてしまう場合もあります。
急に病気になり不安になっているところに正常な判断が下せるはずもなく、どこの部屋でもいいので入院させてくださいという家族が多いのが現状です。
しかし、冷静に考えると1日2万円の個室に入院したとしたら部屋代だけで1か月60万円もかかってしまいます。
そのほか食事代や治療費があるので下手をすると1か月100万円近くの入院費がかかってしまう場合もあるのです。
病院側も消費者金融業者ではないので、お金が払えないからといって入院させなかったり治療も終わっていないのに退院させることありません。
お金がない家庭から無理やりお金をむしり取ることはしません。払えそうなところに吹っ掛けてくることが大半だということです。
なので病院に入院することができたら
空いたら大部屋に移してください!
とあらかじめ医療相談員や病棟の看護師に伝えておくこととを絶対にお勧めします。
もちろんすべての病院が個室を勧めてくるという訳ではないですが、出費を節約したく大部屋を希望するのであれば、空いたら大部屋に移してもらうのは正当な主張だと思います。見栄を張らずにお願いしましょう!!
老後の出費の節約方法:介護費用
在宅介護だと一番費用を安く済ませられる
要介護度が高くても自宅で過ごしたほうが一番コストは安く済ませることができます。持ち家ならば当然、家賃もかからない。水道光熱費も家族で一緒に住むのであれば節約できます。
要介護5の場合の人(ほぼ寝たきり)で介護保険を使った介護費用は最高でも35,000円程度(1割負担の場合)です。
これを超える場合は全額自己負担になりますが、『障害支援区分認定』を受けられるのであれば、場合によって介護保険を超える部分は障害のサービスが使える可能性があります。
市町村が適当と認める支給量が介護保険サービスのみによって確保することができないと認
常時介護を要する障害者等に対する支援についてより引用
められる場合等には、障害者総合支援法に基づくサービスを受けることが可能
居宅介護支援事業所のケアマネジャーと出来るだけ費用を安く済ませるように話し合いを重ねて、うまく障害や介護の制度を利用していくと費用が抑えられます。
もちろん介護費用を極限まで節約する方法は、おむつ交換や入浴介助などすべての介護を家族がすれば費用を抑えられます。
しかし、すべての介護を家族がするのは並大抵ののことではありません。仲の良い家族が総出で手伝ったって難しいです。
特にトイレについての介護が必要になってくると介護負担が一気に上がります。トイレを高齢者自身で出来るか出来ないかが、老人ホームの入居を考える1つのターニングポイントになってきます。
「自分でトイレに行けるうちは自宅で介護しても良い」と思っている家族はとても多いのです。ポータブルトイレでも良いので高齢者自身で用を足すことが出来ると自宅で過ごす時間が長くなっていきます。ま
た、認知症などの問題行動で徘徊や暴力や被害妄想が出てくると家族が老人ホームの入居を強く希望する場合も多いです。なるべく高齢者を自宅で介護したい場合は、高齢者自身に健康でいてもらうのが重要になってきます。
自宅で家族が介護をする際に介護保険サービスを一切使わず、自宅で1年以上にわたり、要介護4~5に認定された要介護者を介護している家族に対して、自治体から年額10万円~12万円が支給される制度があります。それが家族介護慰労金です。
しかし、給付条件がやや厳しく実施していない自治体もあるので、お住いの自治体にこの制度があるかどうか確認しましょう。
1年に10万円~12万円もらえますが、介護サービスを使わずに要介護4~5の家族を介護するということは並大抵のことではありません。
家族介護慰労金がもらえるようにがんばるのは現実的ではなく
介護される人が「絶対に家族に介護してほしい!!」「家族が全部介護してあげたい!!」などの特別な事情がない限りは、利用することが難しい制度だと思っておいて下さい!!
自治体からおむつの支給
自治体によっても基準は異なりますが、おむつ代かおむつの現物で支給される制度を行っている自治体は非常に多いです。
おむつ代は介護度が高くなると月に万単位でかかってきてしまいます。全額ではないにしてもおむつが支給されるのは経費の削減になります。これは介護保険の中の市町村特別給付という予算で賄われているものです。
市町村独自の条例などで自治体により異なりますが、要介護者に対して移送サービスや配色サービス、寝具乾燥、おむつ支給などを助成します。横出しサービスとも言われています。
介護が必要な状態になったご家族がいるのであれば是非一度、市町村の高齢者支援の窓口か近くの地域包括支援センターに出向き、高齢者に使えるサービスにどんなものがあるか確認しましょう。
入居するなら地方の老人ホームが安い
いよいよ、自宅で介護をすることが難しいということになり老人ホームへの入居を考えるのであれば、地方の老人ホームのほうが格段にコストを抑えられます。
もちろん、特別養護老人ホームが一番コストを抑えられますが、すぐに入居するのはかなりハードルが高いです。
特別養護老人ホームは申し込みをして、数年単位で順番がまわってくるかどうか。という心構えが必要です。
特別養護老人ホームの入居を待っている間に、民間の老人ホームに入居するというパターンが多いのが現実です。
待っている間でも大都市の老人ホームではたくさんの費用が掛かってきます。東京23区内だと月25万円以上は覚悟したほうが良いです。
2017年の厚生労働省の資料には東京都周辺では高齢者の転入超過数をみると、埼玉県が2,738人と最も多く、次いで千葉県、茨城県など22県で転入超過となっています。
転出超過数は東京都が6,370人と最も多く、次いで大阪府、福島県など25都道府県で転出超過となっています。
つまり、大都市の老人ホームに入居すると費用がかさむので大都市近郊の他県にある費用の安い老人ホームに入居する高齢者が多いという現象が起きているのです。
地方の施設では医療費、生活費、介護費など1か月の費用をすべてひっくるめても、月15万円程度で済ませることも可能です。これはユニット型個室の特別養護老人ホームの費用と大差がない金額です。しかも入居金なしのところもたくさんあります。
当然のことながら都会のホームよりも居室は広くて豪華。土地が安いことでコストを大幅に削減できるからです。出来るだけ費用を抑えた老人ホームに入居を考えている方は、地方の老人ホームをお勧めします。
高額に介護費と医療費がかかった場合は支給される制度がある
介護保険の制度の中で、国が設定した介護費と医療費の上限額を超えた場合は、超えた額が支給される制度があります。
それが、「高額介護(予防)サービス費等の支給」と「高額医療合算介護(予防)サービス費等の支給」の2種類になります。
申請方法は対象者にお知らせが封書で届きます。書いてある申請手続きの方法にそって、なるべく早めに手続きする必要があります。
ただし、自治体や加入している保険によっては対象者にお知らせが届かない場合もありますので、介護費や医療費が高額になったのであれば直接、自治体に連絡し確認しておくことをお勧めします。
老後の出費の節約方法:各種控除
各種控除
高齢者が使う費用の中で確定申告の時に控除の対象になるものが多数あります。
社会保険料控除
各種医療保険料(国民健康保険、後期高齢者医療保険など)、国民年金保険料や介護保険料は確定申告で社会保険料控除の対象になります。各種送られてきた通知を見て確定申告時に記入しましょう。
医療費控除
医療費控除は、1年間の間に医療費が一定の金額を超えた場合に所得控除になる制度です。病院の診察代やお薬代などが対象になります。
医療費控除の上限額は年間にかかった医療費が10万円を超えた場合か総所得額の5%のどちらか少ない額になります。
課税所得が200万円未満は総所得額の5%、200万円以上は10万円が引かれる。
介護サービス利用料も医療費控除の対象になる
あまり知られていないと思いますが、医療費控除の中で介護サービス利用料も医療費控除の対象になります。
医療費控除の対象の介護サービスは国税庁のホームページに載っている。
ほとんどの介護サービスが医療費控除の対象になるので、確認しておいて損はないです!!
おむつ代も医療費控除の対象になる
傷病により、おおむね6カ月以上寝たきりの方で、おむつを使う必要があると医師が認める場合は、おむつ代が医療費控除の対象になります。
確定申告の際には、医師の発行した「おむつ使用証明書」と医療費控除に関する明細書(おむつ代の領収書でも可)が必要になります。「おむつ使用証明書」の用紙は国税庁のHPからダウンロードできます。
障害者控除
障害者控除対象者認定。65歳以上で、6カ月以上寝たきりまたは認知症により、障害者・特別障害者に準ずる方は、年度末調整・確定申告等の手続により、障害者控除を受けることが出来ます。
控除を受けるにあたっては各自治体が発行する「障害者控除対象者認定書」が必要となってきます。対象になる場合は各自治体の税務署まで問い合わせをしてみてください。
知ってるのと知らないのでは費用差が格段に違う!
今回の記事で特に知っておいてほしかった項目は入院費を安くする方法と地方の老人ホームが格安ということです。
入院費では一言「大部屋に移してください!」ということを言っておけば、数十万円単位の経費が安くなります。数十万円を稼ぐのに大変な時間と労力がかかります。それがたった一言で、数十万円の費用単価が出るというのは、言わないほうが確実にもったいないです。
そして、介護費用というのは「いつまで続くかわからない!」というのが悩みの種です。だからこそ、月々の費用の安い老人ホームに入居するというのは費用面と精神面での負担がかなり減ると思います。
以上になります!読んでいただいてありがとうございました!!
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